排尿時違和感とおりものの異常:クラミジア感染症 /大林広輝
2024.05.06更新
多くのクラミジア感染症を診察してきた経験を生かして、
より現場に近いリアルな視点でクラミジア感染症を解説していきます。
男性は排尿時の違和感、
女性はおりものの異常がある場合、
原因の一つとしてクラミジア感染症が考えられます。
クラミジア感染症は性感染症(STI)の中で最も感染者数が多く、
特に若い成人に見られる病気です。
クラミジアの基本情報と対処法について解説します。
クラミジア感染症とは
一般的にクラミジアは、性的接触によって人から人へと感染します。
感染経路としては、膣性交だけでなく、肛門性交、オーラルセックスからも感染のリスクがあります。
コンドームを使わない場合の性行為では50%程度の確率で感染します。
喉に感染することがありますので、
オーラスセックス後に喉の違和感がある場合はクラミジア感染症が考えられるでしょう。
また、感染者の生殖器から出る分泌物に触れた手で目を触ることによって、
目にクラミジアが感染することもあります。
排尿時違和感、おりものの異常と一緒に目が赤くなるといった症状が出た場合は
クラミジア感染症の可能性が高いと考えられます。
症状の現れ方
クラミジア感染症の厄介な点は
感染しても、特に女性では初期段階では症状がほとんど現れないことです。
症状は男女によって異なりますが、共通する症状としては排尿時の痛みや違和感です。
この症状は圧倒的に男性に多く、女性では比較的まれです。
男性の場合は下着がいつの間にか汚れていたり、
尿道から透明もしくはやや白っぽい分泌物が出ることがあります。
女性の場合は、おりものが多くなる、においがいつもと違う、色が違う(黄色や緑色)
といった症状が出てきます。
下腹部の違和感や痛みの症状が出ることもあります。
診断と治療
診断は男性であれば尿検査、
女性であれば膣から拭き取り検体による検査で行われます。
男女ともに喉の感染はうがい液を採取して検査します。
治療は抗生物質(アジスロマイシン)によって効果的に行われ、完治が期待できます。
ただし、アジスロマイシンが効かない場合もありますので、その時は別の抗生物質に変更して治療します。
治療で重要なことは感染が確認された場合、
パートナーも検査を受け、必要であれば治療を受けることです。
パートナーが感染したままでは、自分が完治しても再度性行為をすることで
再びクラミジア感染症になることが考えられます。
またクラミジア感染を治療しないままでいると、男女ともに不妊症のリスクが高くなります。
予防策
クラミジア感染を防ぐ最も有効な方法は、安全な性行為を行うことです。
コンドームの正しい使用が感染リスクを大幅に減少させます。
また、定期的な性感染症の検査を受けることも予防につながります。
おまけ
一緒のお風呂に入ると相手が感染しないか心配される方がいらっしゃいますが、
そのようなことはありません。
それゆえ、温泉に行ったため感染したということはないと考えてよいでしょう。
最近は女性が何の症状もなく、
妊娠を契機に検査したところクラミジアと診断されることがあります。
パートナーの男性にも症状がなく、検査するとクラミジアと診断されるケース増えています。
症状だけでは判断できないケースが増えていますので、
心配がある場合は検査することをおすすめします。
問診では感染経路を知るために、性風俗の利用があるかお聞きします。
感染の機会が性風俗でなければ、パートナーからの感染が考えられ、
パートナーの検査や治療をアドバイスすることができるからです。
上記のようにパートナーと一緒に治療することが大切ですので、
パートナーと一緒に当院でまずは検査を受けてみてください。