医師コラム

2024.01.23更新

みなさん、こんにちは。

今回は、昨年より当院で実施している
日帰りの膀胱がん手術 について、お話しします。

 

 


膀胱がんは、泌尿器がんの中で、前立腺がんに次いで多く、
尿に血が混じる、
肉眼的血尿
という症状で見つかることが多いです。

他のがん同様、早く見つけて適切な治療を行えば、高率に治る病気です。

 


膀胱がんの治療の中心は、経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-BT)という手術で、
がんの確定診断と深さ(深達度)を判断します。

 

 

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この手術は
硬性鏡という真っすぐで比較的太く、硬い内視鏡を用いること、
電気メスを使用した切除を行うことなど から、
通常は全身麻酔や脊椎麻酔(下半身麻酔)で手術を行います。
このため、約1週間の入院となることが多いです。

 


TUR-BTで診断した、正確ながんの深さである深達度に応じて、
その後の治療が異なります。

 

約2割は筋層浸潤がある深いがんで、
膀胱を全部摘出する膀胱全摘という非常に大きな手術が必要になります。

 

約8割は非筋層浸潤がんといって、
基本的には膀胱を取らずに温存することが可能です。

ただし、こうした非筋層浸潤がんであっても、
約50%で術後再発を起こすという再発が多いという特徴があります。

 

 

実際、患者さんによっては、
TUR-BTを5回から10回も行うという場合もあります。
したがって、こうした患者さんは1週間の入院と手術を再度行わないといけません。

 

 


かしわ腎泌尿器クリニックには、慈恵医大で入院してTUR-BT手術を行ったのち、
術後の定期検査目的で通院している患者さんが沢山いらっしゃいます。

こうした方の中には、定期検査の外来膀胱鏡で、再発の膀胱がんが見つかる方も少なくありません。
こうした再発のがんは非常に小さいうえ、患者さんも高齢であることが多いため、
より負担の少ない治療ができないかということで、
昨年より日帰りでのTUR-BT手術を開始しました。

 


具体的には、

柔らかい膀胱鏡を用い、麻酔ゼリーを十分に行うこと、
特殊な切除器具を用いること、 で対応します。

 

これまでに約20例の手術を安全に実施できており、
今年の第37回日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会でも、
慈恵医大柏病院と共同で、その有用性と安全性を発表しています。


実際、過去に下半身麻酔が大変であった患者さんなどからは、
身体的負担も少なく、とても満足できたという話も複数伺っています。

 


この日帰りTUR-BT手術の適応は、
がんの大きさ、部位、個数など、
いろいろな条件で決定するので、すべての患者さんに当てはまるものではありませんが、
再発の多い膀胱がんでは非常に有用な治療だと考えています。

 

当院での検査や治療をご希望の場合は、
まずは受診でご相談していただければと思います。

 

 

 

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