医師コラム

2025.01.16更新

 

2025年が始まりました。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 


先月、性感染症学会に参加してきました。

その中で、梅毒の母子感染についての発表を聞き、

妊婦健診の必要性を感じましたので、コラムにしてみようと思います。

 


最近、梅毒が増えていると聞いたことありますか?

特に、妊婦が梅毒にかかると、その感染が赤ちゃんにも伝わってしまうことがあります。

これを「先天梅毒」と呼んでいます。

 

先天梅毒にかかると、赤ちゃんに深刻な健康問題が起きることがあります。

例えば、

流産や早産

生まれてからの障害

など、赤ちゃんの命に関わることもあります。

 


今まで日本では毎年20例程度の報告がありましたが、

2023年には39例と先天梅毒の症例が増えました。

 


大阪市立総合医療センター感染症内科と大阪健康安全基盤研究所微生物部で行われた研究では、

先天梅毒を持って生まれた赤ちゃんの体内で、

梅毒を引き起こす細菌(Treponema pallidum)がどのように広がるかを調べました。

 

その結果、

死産した赤ちゃんや生まれたばかりの赤ちゃんの臓器から、

ほとんど全ての臓器で梅毒菌が見つかったことがわかりました。

 

さらに、血液の中からも梅毒菌が見つかることがありました。

これは、梅毒が胎盤を通じて血液に乗り、体中に広がっていることを意味しています。

 


この研究結果から、

妊婦が梅毒にかかると、その菌が赤ちゃんの体に広がり、

色々な臓器に影響を与える可能性があることがわかりました。

 


でも、良いニュースもあります。

梅毒は早期に見つけて治療すれば、赤ちゃんに感染させるのを防ぐことができます

 

 

だからこそ、妊婦さんには定期的に妊婦健診を受けてもらいたいと思います。

自分と そして

何よりも大切な赤ちゃんの命を守るために。

 

赤ちゃんを守る為

 

 

 

 

2024.08.18更新

泌尿器科では、「おしっこの調子が悪い」という患者さんが沢山いらっしゃいます。
ただ、「おしっこの調子が悪い」という状態は、
患者さんはもちろん、我々医師にとっても、詳しく把握するのは難しいことです。


そこで当院では、患者さんの排尿状態をより正確に評価するために、
ウロフロメトリー(尿流量測定検査)」という検査を導入しています。
この検査は、検査用のトイレに排尿するだけで行うことができます。

検査機器が、
排尿するまでの時間
排尿の勢い(一秒あたり、何ミリLの尿がでているか)、
排尿にかかった時間
尿量などを測定します。


検査結果をみることで、「おしっこの調子が悪い」状態→
「尿がでるまでに時間がかかる」、「尿の勢いが悪い」、
「排尿に時間がかかる」、「排尿が途切れる」などの詳細がわかり、
これらを客観的なデータとして取得できます。

その結果、くわしい診断や治療に役立てることができます。

実際には、男性の前立腺肥大症や女性の神経因性膀胱の患者さんに用います。

 

普段のトイレと同じように排尿するだけですので、
安心してお使い頂けると思います。
周りに気をつかう必要もありませんし、もちろん、痛みを伴う事もありません。


検査結果は、その場で確認でき、
薬の選択や治療効果の判定など、診療に反映させることができます。

 

使用方法↓

1.測定開始ボタンを押す

1

 

 

2.排尿する

2

 

 

3.測定終了ボタンを押す

3

 

 

 

排尿に関するお悩みがある方は、お気軽にご相談ください。

 

 

 

 

2024.07.17更新


こんにちは。蒸し暑い日が続いています。


今回は、医師としての経験から、
陰部に異常を感じた時に早期受診することの重要性をお伝えしたいと思います。

 

今年の話です。
20代の男性が陰嚢(いんのう、いわゆる玉袋)の脹れを訴えて、
当クリニックに来院しました。

最初は精巣上体炎や性病などの良性の病気を疑いましたが、
触診を行ったところ明らかに”しこり”が見られました。

そこでエコーを施行したところ、精巣腫瘍の可能性が高いと判断しました。


精巣腫瘍は、20代男性の悪性腫瘍・癌では最も多い病気です。
病気の進行が早いことから、手術はなるべく診断して直ぐに行うことが鉄則です。

 

2181

 

 

当院においては、2018年以降初診で20名(19歳~69歳)の方の精巣腫瘍を発見し、
当日もしくは翌日には慈恵医大柏病院を紹介して、
さらに精査後、手術を行っています。

手術後の病理結果では、9名の方がセミノーマ、
そのほかでは胎児性癌や混合性胚細胞腫瘍などでした。

また、他院から48名の方が当院へ紹介を受け、
再発や転居の方を除いて、現在も経過観察を行っています。

 


話は戻りますが、私はすぐに追加でCT検査を行い、転移のないことを確認した後、
当院の非常勤医師である大学病院の泌尿器科医に連絡を取ると同時に、
その日の午後には大学病院に行くように患者さんに説明しました。

大学病院では事前に連絡を受けていたため、再度細かな診察が行われ、
その日の夕方には手術が実施されました。

術後の経過も良好で、ステージ1の精巣腫瘍だったため、無事に完治されました。

 


以上のことから、お伝えしたいことは3点です。

早期受診の重要性:
異常を感じた際は、自己判断せずに早めに医療機関を受診することが大切です。
当院では毎年精巣腫瘍の患者さんを診断しています。
早期発見により、治療の選択肢が広がり、予後が改善する可能性が高まります。


精密検査の必要性:
症状や触診で異常が見つかった場合は、
エコーやCTなどの精密検査を迅速に行うことで、正確な診断が可能となります。
特に、悪性腫瘍では、これらの検査が不可欠です。


医療機関間の連携:
地域のクリニックと大病院の間でのスムーズな連携が、患者さんの迅速な治療を可能にします。
この体制が整っていることで、患者さんの負担を最小限に抑え、
治療の成功率を高めることができます。

私たちのクリニックでは、悪性腫瘍が発見された場合、
迅速に治療が進められるよう、各病院と密に連携を取っています。
異常を感じた際には、早期に医療機関を受診することをお勧めします。

 


皆さんの健康を守るために、医療機関は協力し合い、全力でサポートします。

 

 

 

 

 

2024.05.14更新

女性だけでなく男性にも更年期があるのをご存じでしょうか?
原因はいずれもホルモン低下です。

本日は男性更年期(LOH症候群)について、
当院のデータ報告と共に、診断や治療についてお話ししようと思います。

男性ホルモンは40代から50代になると低下してきますが、女性より個人差が大きいです。

 


1.男性更年期障害の症状は?

体力的:筋力の衰えや体のだるさ
体感的:ほてりや冷え、発汗、頭痛、耳鳴り
精神的:不眠やうつ症状、不安、集中力低下、いらいら、記憶力低下
性的:性欲が減る、朝立ちの回数減少、勃起不全、早漏


競争心が強い人、神経質、几帳面、まじめ、せっかちな人が多いと言われています。

仕事や家庭の不安やストレス、体調の変化等も男性ホルモンの分泌を阻害する原因です。

 


2.男性更年期の診断は?

男性更年期障害は、採血で男性ホルモン(アンドロゲン)のテストステロン値などを測定し、
症状等と合わせて診断します。

最近、当院にて男性更年期を疑って遊離テストステロンを測定した184例の平均年齢は51.8歳でした。

上記のうち124例について男性更年期と診断し、薬物治療がおこなわれました。

当院で薬物療法を行った治療群の遊離テストステロンの平均値は7.8pg/mlでした。
(正常値のボーダーラインは8.5~11.8pg/mLです。8.5pg/mL以下は男性ホルモンが低めと判断します。)

 

ちなみに
以下は男性更年期ではなく、別の診療科を紹介した例です。

耳鼻科      めまい 1例
精神科      うつ病 1例
心療内科    うつ病  1例
糖尿病         1例
甲状腺機能低下     1例
甲状腺中毒       1例
脳神経内科       1例

 

 


3.男性更年期の治療や対策は?

治療や対策として

生活習慣の改善
ホルモン補充療法(エナルモンデポー注射)
漢方薬やED治療薬(バイアグラ・シアリス)の服用
などがあります。

 

〇生活改善

肥満や高血圧、糖尿病、喫煙の改善に努めます。
内臓脂肪の増加は男性ホルモンの低下と関係があると言われていますので、
生活の改善も有効です。

 


〇ホルモン補充療法

テストステロンが不足しているので、注射して補充してあげると非常に効果的です。

ホルモン補充療法は、血液検査や必要時超音波検査を行い、
前立腺に病気が無いこと等を確認した後、
2~4週間に1回の割合でホルモン補充療法(エナルモンデポー注射)を行っています。


なお、当院でのエナルモンデポー治療群の遊離テストステロン平均値は6.3 pg/mlでした。
テストステロンの内服は効果がありません。(全身に作用する前に肝臓で全て分解されるため)
注射して直接血中に投与するか、経皮吸収させるかとなります。

ただテストステロンの補充療法は副作用が起こることも知られております。
(動脈硬化の進行や前立腺肥大症、前立腺がんの助長や進行、AGAの急激な悪化など)

医師の継続的な診察のもと、治療を行うことが望ましいです。

 


〇ED対策

バイアグラ、シアリスの服用をお勧めしております。
勃起機能のみならず、早朝勃起の回復がQOLを改善させ、
また血中テストステロン値が上昇することが知られております。

 


〇漢方療法

補中益気湯などの漢方製剤も男性更年期障害には有効との報告があります。

 


〇男性ホルモン補充クリーム

男性ホルモン軟膏「グローミン」というものが、
第一類医薬品の取り扱いのある薬局で購入することができます。
1日2回陰嚢に塗布します。本来は医師の診察をうけながら補充することが望ましいです。

 


〇食事で行う対策

亜鉛ビタミンBの摂取が有効であることが判明しています。
(亜鉛は生ガキやレバー
ビタミンB群は水溶性のビタミンで8種類あり、赤身の魚や豚ヒレ、レバー、あさりや納豆に含まれています)

サプリメントも効率よく摂取できる対策だと思われます。

 


〇うつ症状

仕事や生活に影響のある場合は、心療内科と併用で治療を行う必要があります。

 

 

 


以上、男性更年期について、データ報告と共にお話ししてきました。

 

 

40代、50代は、自分ではどうしようもない体調の変化も起きやすく、
そんな中でも仕事や家庭で頑張っている人もいると思います。

男性更年期は個人差も大きく、人と比較が出来ない部分もあります。 

更年期で病院へ行くというのも気が引けてしまう、、と思われる方も多いでしょうし、
不調の原因は歳だから、、と更年期と結びつかない方も、きっと多いのではと思います。

 

当院では適切な検査と診断をしてから、治療を行っています。

気になる際は是非一度、受診をしてみてください。

 

2023.12.21更新


こんにちは。
コラムの更新が久々になってしまいました。

この間、クリニックではいろいろな前進がありました。


大きく3点


1 在宅診療の施設基準が変更になりました。

2 院内のデータをまとめて研究発表するため、倫理委員会を設立しました。

3 倫理委員会で承認された研究に対して、学会で発表しました。


これらに関して、それぞれお話しさせていただきたいと思います。

 

 


〇当院は、在宅療養が必要な方への医療提供について、
 一定の基準をクリアし、
 また実績が認められ
 2023年11月より『機能強化型(連携型)在宅療養支援診療所』 として施設認可を受けました。
 
 患者様・ご家族様に対して、今まで以上に
 より丁寧に、寄り添った在宅診療を行ってまいります。

 


〇当院は、独立・公正な立場にある倫理委員会を設置しました。
 倫理委員会を設置することで、クリニックから独立して、
 人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針等に基づく研究の審査業務を行い、
 以下の点で審議します。
 
 :提出された臨床研究計画で目的とした成果が得られるか(科学的合理性)
 :患者さんへ、参加することでの負担を明確に述べているか
 :患者さんの受ける治療などのリスクと効果などの利益のバランスの評価が行われているか
 :患者さんへの臨床研究の説明同意文書が適格に作成されているか
 :患者さんの自由意志による同意を得る方法、ならびに、
 :同意が得られなかった場合の患者さんの保護について書かれているか
 :個人情報等の保護の方法が書かれているか
 :提出された臨床研究の質(モニタリングや監査の方法)及び透明性の確保(利益相反など)が行われているか
 
 倫理委員会では研究が開始された後も、
 臨床研究が適切に遂行されているかや、有害事象などの発生状況を確認し、
 場合によっては臨床研究の中断を施設の長に意見する事ができます。

 


〇倫理委員会で審議し、2件の研究内容が承認されました。
 日本泌尿器内視鏡学会(2023年11月)と、日本性感染症学会(2023年12月)にて、発表を行いました。
 詳細は後日ご報告させていただきます。

 

 

文字にすると とんでもなく難しそうですね、、、


私たちは、日々外来診療を行いつつ、
通院困難となった方にはお家に訪問して診療をし、
またアカデミックな視点を持って研究発表をし、

患者様、ご家族様の為に、
今後も精力的に活動を続けてまいります。

 

2023.01.06更新

こんにちは。院長の岸本です。

令和五年、新年明けましておめでとうございます。
今年はコロナ感染が昨年より落ち着くことを願っています。

本年もよろしくお願いいたします。

 


前回の医師コラムで、成医会での発表についてお伝えしていましたが、
コロナ感染状況の拡大に伴い、残念ながら会が中止となりました。
来年こそ発表に臨みたいと思います。

 

 

さて、2022年は梅毒が急増しており、
1999年に感染症法が改正されて以来、最大の患者報告数となっています。

当医院のある千葉県も例外ではありません。

梅毒が増えています/千葉県HP


千葉県梅毒
千葉県HPより

 

 

 

実際、私たちのかしわ腎泌尿器クリニックでも、
梅毒の患者さんが急激に増えているのを実感しています。


最新かつ的確な治療を施すために、
当院では毎週
医師達が治療や検査、新しい医療情報、
病状が心配な患者さんについてカンファレンスを行うのですが、

今回は梅毒の治療法について、最新の知見を含め、熱く話し合いをしました。

 


梅毒は、コンドームを使用しないセックスや、
オーラルセックスで感染する性感染症です。

 

 

梅毒


初期には、性器や口などに数ミリのできものが現れますが、
自然に消えてしまい、自覚がないまま進行します。

そして、症状も多彩で、他の疾患と区別がつきにくく、
「偽装の達人」とも呼ばれています。

 

梅毒の確実な診断は、採血によるRPRの検出ですが、
明らかに梅毒の所見がある場合、初診時に検査をするとともに、
医師の診断により治療も開始しています。

 

治療法は、飲み薬と注射があります。

今まで日本では、梅毒の治療は「アモキシシリン」という抗生剤の飲み薬を
1日3回、約4週間、内服することが多かったです。


しかし!
2022年1月から、ベンジルペニシリンベンザチンの筋肉注射製剤が発売されました。
実は世界では圧倒的にこの治療法が第一選択の治療になっています。

 

この注射薬は、水溶性が低く、
筋肉内で2~4週間かけてゆっくり全身へ放出されていきます。

13歳以上の成人には病気の進行度により、
早期の梅毒でしたら、1回おしりに注射するのみ、

後期の場合には週に1回、計3回の筋肉注射をしていきます。

 

もともとこの薬は内服薬としては、
「バイシリンGr」という名前で既に発売されていましたが、
今回梅毒の治療薬として発売されたのは、注射です。
梅毒の治療薬としては40年ぶりの事です。

 

ただし、ワーファリンなど血液サラサラの薬を内服していたり、
腎機能が低下していたりする患者さんには注意しながら投与をしていきます。

また、ペニシリンアレルギーのある方には禁忌のため、使用できません。

 

 

当院でも注射での治療を行っています。
注射後は副作用の観察のため、しばらくは様子を見させていただきます。

慎重に新しい治療を始めましたが、
今のところ副作用が出現した方はみられていません。

 


飲み薬は1日3回4週間と長期にわたり服用しなければなりませんが、
この新しい薬は1回の注射治療で終了するため、簡便です。
飲み忘れの心配もありません。


しかし、
注射による痛みが伴う事、
内服薬同様 副作用もあり得ること、

また
内服薬(3割負担だと薬代は約600円+診療費や検査代)よりも
注射薬は高価(3割負担だと薬代は約3000円+診療費や検査代)のため、

患者さんと十分話し合いながら治療を進めていきたいと思います。

 


まだまだ新しい注射薬の治療を取り入れている医療機関が少ないようで、
時々患者さんからお電話で問い合わせがあります。

注射で治療をご希望の場合は、是非一度 クリニックでご相談ください。

 


梅毒の症状がない、でも感染に心当たりが、、という方は
柏市の保健所でも無料匿名で検査をしてくれます。

令和4年度柏市保健所検査について

 

 

梅毒は治療しなくても、一度治ったようにみえてしまう、
やっかいな病気です。

病院に行きづらいこともあり、
そのまま放置してしまう方も多いかと思います。

が、
自分だけではありません。
相手にもうつしてしまいます。


妊娠している人が梅毒に感染すると、
胎盤を通して胎児に感染し、
死産、早産、新生児死亡、奇形が起こることがあります(先天梅毒)

 


きちんと治療すれば必ず治すことのできる病気です。
どうぞ安心してご相談ください。

一緒に治していきましょう。

 

2022.11.27更新

こんにちは。院長の岸本です。
11月下旬になり、朝晩の冷え込みを感じるようになりました。

 


さて、当クリニックでは、
私とスタッフが協力しながら日々様々なデータをまとめています。


病名や年齢、病期のステージ、治療法、治癒までの時間など
様々なデータをエクセルに入力していきます。


看護スタッフも事務スタッフも空き時間を見つけては、
毎日入力してくれ、
迅速で正確なデータが集まるようになりました。

 

私は朝8時過ぎから診療前までの朝の日課として、
データまとめをしています。

それらを集計して分析し、毎週のスタッフカンファレンスで発表して、
患者さんへよりよい治療が出来るように努力しています。

 

この集めたデータを分析して患者さんに還元していくことが大事なんですね。

 

きし1

 

 

 

このたび、2022年12月3日(土)14時から、
慈恵医大柏病院の成医会にて、
日々まとめているデータの一部を発表させていただく機会を持ちました。

 

題名は、

「かしわ腎泌尿器クリニックにおけるがん地域連携」

です。

 


前立腺患者さんの来院数や平均年齢、病期のステージ、
PSAの値についてなどのデータを多角的な視点で集め、
分析し、とりまとめました。


発表当日は非常勤の先生に診療をお任せし、
看護師、事務員スタッフと共に全力で発表してきます。

 

きし2

 

 

2022.10.11更新

こんにちは。院長の岸本です。

今回は梅毒についてお話ししたいと思います。

 

2022年上半期の時点で

梅毒と診断された人が、すでに5000人を超えたそうです。

(7月12日、国立感染症研究所公表の2022年度上半期梅毒感染症調査結果による)

 

最多を記録した2021年(7983人)の1.6倍のペースで増加をしています。

すごいハイペースですね。

 

 

当院でも今年に入り、梅毒の患者さんが増えていることを実感しています。

梅毒の診断をしますと、7日以内に保健所へ届出することが決められています。

 

当院では2018年5月から2022年7月までの約4年間で

91例の治療をいたしました。


2018年5月から2022年7月まで梅毒の91例統計
     男性76例 女性15例

梅毒1

 

 

 

 

そのうち、半数以上が、第1期と呼ばれる初期感染の方でした。

 

梅毒は初期から第4期まで段階的に進行していきます。

たいていの人は、第3期まで症状が悪化してしまう前に、受診治療を行っています。

 

 

今回は初期の第1期の症状と第2期の症状をお話ししたいと思いますので、

ぜひ、この症状のうちに受診してください。

 

↓ こちらもご覧ください

性病/かしわ腎泌尿器クリニックHP

 

↓ 性病を分かりやすくまとめた動画です

若い方への啓蒙などにも是非お使いください

よくわかる性病/性感染症と治療法(かしわ腎泌尿器クリニック監修)

 

 

第1期症状

感染してから約3週間~3ヵ月の間に起こります。

簡単に言うと、性器・くち・肛門にしこりができます。

第1期梅毒の症状は痛みや痒みなどの自覚症状がないため、

梅毒に感染していると知らないまま、

性的接触によって他人に感染させてしまうケースもあります。

 

約1ヶ月で初期硬結も硬性下疳も自然に消えてしまうため、

症状が出る部位によっては感染に気付きにくくなります。

 

 

第2期症状

第1期梅毒の症状がおさまって3ヵ月以上経った頃にあらわれます。

頭痛や発熱・だるさ・のどの痛み・脱毛(梅毒性脱毛)・湿疹(梅毒性バラ疹)、

小さく平たいイボ(扁平コンジローマ)、口内炎のような粘膜の白疹(梅毒性粘膜疹)

といった様々な症状が全身に現れます。

半年程度で症状がなくなりますが、感染力は残っています。

 

 

 

梅毒は血液検査と細菌培養にて診断するため、

当院ではオンライン診療は行わず、必ず来院検査をしていただきます。

そして内服治療を開始します。

 

一定期間治療したのち、血液検査で治癒判定を行います。


当院では治癒判定まで平均2.17か月の治療期間がありました。

 

治療薬の状況  平均(2.17か月)

梅毒2

 

 

 

梅毒は怖い印象がある方も多いと思いますが、

適切な治療さえすれば、完全に治せる病気です。

 

気になる症状がありましたら、早めに受診していただき、

しっかり治していきましょう。

 

梅毒、性病、という内容故、

普通の病気よりも不安だったり、恥ずかしさが勝ってしまったりで

なかなか受診する勇気が出ないかもしれません。

偏見をもって見られてしまったりもしかねないですものね。

 

でも、

一切偏見無く、一つの病気として向き合う事が出来るのが医者です。

看護師もスタッフも同様です。

どうぞ安心してご相談ください。

一緒に治していきましょう。

 

 

2022.09.15更新

泌尿器科がんで最も多い、前立腺がん。

当院においての前立腺がんの状況についてまとめてみました。

 

2018年5月から2022年1月までの3年9か月の間に、

400名以上の方が来院され、

現在も多くの方が通院されています。

 

約400名の方の、来院される前に行われていた治療を調べたところ

200名以上が前立腺全摘出手術を受けられていました。

特に近年では、慈恵医大柏病院にも導入された、

最新機器のロボットを用いた手術を受けた患者さんが増えています。

(手術支援ロボット「ダヴィンチ」)

 

また、放射線治療を受けた方が約100名、

ホルモン治療を受けた方も約100名、

これらの治療を併用されている方も多くいらっしゃいます。

 

当院では大学病院と同様に、

注射や内服による前立腺がんのホルモン療法を継続して行うことで、

地域に根差し利便性に優れたクリニックの利点を生かしつつ

診療の質も落とさない、がん治療を行っています。

 

 

残念ながら一定の割合で、がんは再発や転移を起こします。

万が一、再発や転移が疑われた場合は、

ご本人やご家族と相談しながら、よりベストな方法を考えていきます。

 

大学病院での治療が必要と判断された場合は、

スムーズな医療連携により、大学病院へ紹介いたします。

 

医師たちは毎週必ずミーティングを行い、

心配な患者さんや治療に迷った症例などを共有し、相談しています。

看護師達も大半が

がんの治療に5年から20年近くかかわっているベテランです。

医師、看護師だけではありません。

事務のスタッフも含め、ミーティングで情報を共有しています。

がん診療4

 

がんの治療で不安なのは、あなただけではありません。

スタッフ全員が、皆様の不安を少しでも減らしたいと願っています。

困ったことがあれば、いつでも。どのスタッフにでも。

是非、声をかけてみてください。

 がん診療5

 

 

2022.09.10更新

こんにちは。院長の岸本です。

今回は、クリニックにおけるがん診療についてお話ししたいと思います。

 

私は大学病院に勤務している間、

大勢のがん患者さんの診療を行ってきました。

現在も大学病院の医師たちは、最前線でがん診療を行っています。

 

がん診療1

 

 

がん診療は、

手術、放射線、抗がん剤治療などを行う治療期間

治療後に再発や転移の有無をチェックするフォロー期間

大きく二つに分かれます。

 

そして、そのフォロー期間は

がんの種類によっては、長い期間を要します。

 

 

大学病院では、

日々新しいがん患者さんが来院することもあり、

以前から、がん患者さんが溢れてしまうという問題がありました。

 

フォロー期間の患者さんが増えていきますと、

患者さんの待ち時間が長くなってしまう、

予約が取れない、取れにくくなってしまう、等々

様々な問題が出てきてしまいます。

 

同時に大学病院などの医療機関にとっても、

一人一人の患者さんの診療の時間を短くせざるをえなかったり、

本来あってはいけない、質が下がる、

という悪循環を引き起こしてしまいかねない懸念があります。

 

 

こうした問題を改善するため、現在厚生労働省では、

がん医療の質の保証と安全の確保を図るための

「がん地域連携パス」の整備を推奨しています。

 

何やら言葉にすると難しいですね、、

 

簡単に言うと、、

 

手術、放射線、抗がん剤治療など、

重点的ながんの治療は、大学病院などのがん診療拠点病院で行いましょう。

 

比較的症状の安定した患者さんのフォローは、

地域クリニックや小規模病院が担いましょう。

 

そうして少しでも患者さんの為に、より良い環境を作りましょう、

というものです 。

 

がん診療2

 

 

 

当院では、地域拠点病院の慈恵医大柏病院と連携し、

術後の定期フォローや、

継続可能な薬物療法が必要ながん患者さんを、

積極的に診療しています。

 

それには

CTや膀胱鏡をはじめとした最新の検査機器が揃っていること、

慈恵医大柏病院の医師がほぼ毎日交代で診療していること、

なによりも大学病院との連携がスムーズであること、

 

それらが根底にあり、

がん診療のサポート体制は地域一、整っている施設だと自負しております。

 

がん診療3

 

 

次回に続きます。

 

 

 

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