クラミジア淋菌感染症報告 (2024年)/岸本幸一
2025.04.13更新
こんにちは。
桜も葉桜となり、ゴールデンウィークが近づいてきましたね。
近年、若い世代を中心に「性感染症(STI)」の患者さんが増加傾向にあります。
特に、クラミジアや淋菌感染症は、自覚症状が少ないまま感染が広がることがあり、注意が必要です。
今回は、2024年1年間の当院における性感染症の診療データを集計しました。
以下に、その報告をしたいと思います。
2024年に当院で淋菌・クラミジア感染症と診断された方は、500名でした。
■ 男女比
感染者の約87%が男性でした。
男性の方が自覚症状を感じやすく、早めに受診する傾向があります。
■ 年代
男女ともに、20代〜30代での感染が多く見られました。
性活動の活発な年代でリスクが高くなりやすい傾向です。
■感染症種別
当院で診断された性感染症のうち、クラミジア感染が最も多く、次いで淋菌感染が続いています。
クラミジアと淋菌の合併感染(両方に同時感染している)も一部に見られ、症状が強く出ることもあります。
■感染経路
性感染症の感染経路としては、次のようなケースが多く見られました。
・一番多かったのは、パートナーからの感染(恋人・配偶者など)
・次に多かったのが、風俗サービスの利用による感染
実は、性感染症は特別な行動だけでなく、身近な関係の中でも感染するリスクがあるのです。
■パートナー陽性による受診者の感染統計
パートナーが陽性と判明したことで受診された患者さんでは、女性の方が高い感染率(約69%)を示しました。
一方、男性の感染率は約49.6%にとどまりました。
この差は、女性では無症状のまま感染しているケースが多く、気づかないうちに感染を広げてしまう可能性が高いことを示しています。
パートナーが陽性と分かった場合は、症状がなくても早めに検査と治療を行いましょう。
■症状がなくても感染していることがあります
・女性の場合:無症状のことが多く、知らないうちに他人にうつしてしまうこともあります。
・のど(咽頭)の感染:のどの痛みや違和感がなくても、クラミジアや淋菌が検出され
ることがあります。
咽頭感染は、男性では14件(436例中 約3%)、女性では6件(64例中 約9%)で、感染が見られました。
感染した病原体の内訳は、淋菌が15件、クラミジアが5件でした。
■感染が分かったらパートナーも受診を
感染が確認された場合、ご本人だけでなく、パートナーの方も検査と治療を受けることが大切です。
パートナーが治療を受けていないと、治ったあとに再感染してしまう可能性があります。
■まとめ
・気になる症状があるときは、早めに受診しましょう
・自覚症状がなくても、不安がある場合は検査が可能です
・感染が分かったら、必ずパートナーと一緒に治療を
性感染症は「早期発見・早期治療」でしっかり治すことができます。
当院では、プライバシーに配慮した診療を行っていますので、安心してご相談ください。