医師コラム

2023.01.26更新


ダイエットの成功のカギは

「毎日体重計に乗ること」と
「睡眠を取ること」

が大切であると前回お話させていただきました。

 

今回は具体的な食事管理についてお話したいと思います。

 

 

食事管理のポイントは2つです。

カロリー計算を理解する
自分にとって簡単だと思うものを見つける

 

 


1つずつ説明していきます。

みなさんはダイエットの時にカロリー計算を活用していますか。


体重1kgを減らすには7000kcalを消費する必要があります。
ご存じだったでしょうか。
カロリー計算を知らなければ具体的な目標を決められませんから、
とても重要になります。

 

基本となる栄養素1g当たりのカロリーは、
たんぱく質が4kcal、炭水化物が4kcal、脂肪が9kcalになります。


30~50歳台の女性の1日の必要カロリーは2000kcalです。


1日に推奨される摂取すべき栄養素を考えると、
たんぱく質300kcal(75g)、炭水化物は1200kcal(300g)、脂質は500kcal(56g)になります。

 


カロリー

                       出典:厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020年版)

 

これらのカロリー計算の基本を念頭に、
自分なりの減量イメージを持ってみましょう。

 

 

 

 

次にダイエットで重要なことは
自分にとって簡単だと思うものを見つける
ということです。


ダイエットの基本は食事量を調整することと運動です。

 

例えば1カ月で1kg減量するには1日に250kcal余分に減らす必要があります。

食事で考えるとたんぱく質の量は維持すべきですから、
炭水化物と脂質の量を減らしてダイエットしていく方法がよいでしょう。

運動では30分のウォーキングで100kcal消費することができます。

あとは減らすべき250kcalを自分にとってやりやすい方法を考え、
組み合わせるだけで大丈夫です。

 

炭水化物100kcal、脂質50kcal、運動100kcalでもよいでしょう。

食事だけ考える場合は炭水化物150kcal、脂質100kcal減らすことにして、
ダイエットを進めてもよいと思います。

 

正解は何通りもあります。

 

 


ダイエットを継続するには楽しむことがコツです。
自分でダイエットメニューを考えると楽しむことができますから、
ぜひ挑戦してみてください。


楽しくなるとコンビニで買う食材ごとに
カロリーやたんぱく質、炭水化物、脂質の
それぞれの量がどうなっているのか気になって、見るのがクセになりますよ。

 

 

 

またダイエットを行う上で知っておくべき重要なことは、
停滞期が必ずくるということです。

 

2~4週間で停滞期がくると言われています。
これは体の代謝や筋肉量が落ちることが原因と言われています。

停滞期では今まで通りダイエットしても1~2週間、体重が減りません。


しかし、停滞期が過ぎると再度体重が減ることを知っておくだけで、
そこで諦めず乗り越えていくことができますよね。


最初は簡単な目標設定すると長く継続することができますから、
ぜひ試してみてください。

 


次回は過活動膀胱のくすりについてお話します。

 

 

2023.01.06更新

こんにちは。院長の岸本です。

令和五年、新年明けましておめでとうございます。
今年はコロナ感染が昨年より落ち着くことを願っています。

本年もよろしくお願いいたします。

 


前回の医師コラムで、成医会での発表についてお伝えしていましたが、
コロナ感染状況の拡大に伴い、残念ながら会が中止となりました。
来年こそ発表に臨みたいと思います。

 

 

さて、2022年は梅毒が急増しており、
1999年に感染症法が改正されて以来、最大の患者報告数となっています。

当医院のある千葉県も例外ではありません。

梅毒が増えています/千葉県HP


千葉県梅毒
千葉県HPより

 

 

 

実際、私たちのかしわ腎泌尿器クリニックでも、
梅毒の患者さんが急激に増えているのを実感しています。


最新かつ的確な治療を施すために、
当院では毎週
医師達が治療や検査、新しい医療情報、
病状が心配な患者さんについてカンファレンスを行うのですが、

今回は梅毒の治療法について、最新の知見を含め、熱く話し合いをしました。

 


梅毒は、コンドームを使用しないセックスや、
オーラルセックスで感染する性感染症です。

 

 

梅毒


初期には、性器や口などに数ミリのできものが現れますが、
自然に消えてしまい、自覚がないまま進行します。

そして、症状も多彩で、他の疾患と区別がつきにくく、
「偽装の達人」とも呼ばれています。

 

梅毒の確実な診断は、採血によるRPRの検出ですが、
明らかに梅毒の所見がある場合、初診時に検査をするとともに、
医師の診断により治療も開始しています。

 

治療法は、飲み薬と注射があります。

今まで日本では、梅毒の治療は「アモキシシリン」という抗生剤の飲み薬を
1日3回、約4週間、内服することが多かったです。


しかし!
2022年1月から、ベンジルペニシリンベンザチンの筋肉注射製剤が発売されました。
実は世界では圧倒的にこの治療法が第一選択の治療になっています。

 

この注射薬は、水溶性が低く、
筋肉内で2~4週間かけてゆっくり全身へ放出されていきます。

13歳以上の成人には病気の進行度により、
早期の梅毒でしたら、1回おしりに注射するのみ、

後期の場合には週に1回、計3回の筋肉注射をしていきます。

 

もともとこの薬は内服薬としては、
「バイシリンGr」という名前で既に発売されていましたが、
今回梅毒の治療薬として発売されたのは、注射です。
梅毒の治療薬としては40年ぶりの事です。

 

ただし、ワーファリンなど血液サラサラの薬を内服していたり、
腎機能が低下していたりする患者さんには注意しながら投与をしていきます。

また、ペニシリンアレルギーのある方には禁忌のため、使用できません。

 

 

当院でも注射での治療を行っています。
注射後は副作用の観察のため、しばらくは様子を見させていただきます。

慎重に新しい治療を始めましたが、
今のところ副作用が出現した方はみられていません。

 


飲み薬は1日3回4週間と長期にわたり服用しなければなりませんが、
この新しい薬は1回の注射治療で終了するため、簡便です。
飲み忘れの心配もありません。


しかし、
注射による痛みが伴う事、
内服薬同様 副作用もあり得ること、

また
内服薬(3割負担だと薬代は約600円+診療費や検査代)よりも
注射薬は高価(3割負担だと薬代は約3000円+診療費や検査代)のため、

患者さんと十分話し合いながら治療を進めていきたいと思います。

 


まだまだ新しい注射薬の治療を取り入れている医療機関が少ないようで、
時々患者さんからお電話で問い合わせがあります。

注射で治療をご希望の場合は、是非一度 クリニックでご相談ください。

 


梅毒の症状がない、でも感染に心当たりが、、という方は
柏市の保健所でも無料匿名で検査をしてくれます。

令和4年度柏市保健所検査について

 

 

梅毒は治療しなくても、一度治ったようにみえてしまう、
やっかいな病気です。

病院に行きづらいこともあり、
そのまま放置してしまう方も多いかと思います。

が、
自分だけではありません。
相手にもうつしてしまいます。


妊娠している人が梅毒に感染すると、
胎盤を通して胎児に感染し、
死産、早産、新生児死亡、奇形が起こることがあります(先天梅毒)

 


きちんと治療すれば必ず治すことのできる病気です。
どうぞ安心してご相談ください。

一緒に治していきましょう。

 

2022.11.27更新

こんにちは。院長の岸本です。
11月下旬になり、朝晩の冷え込みを感じるようになりました。

 


さて、当クリニックでは、
私とスタッフが協力しながら日々様々なデータをまとめています。


病名や年齢、病期のステージ、治療法、治癒までの時間など
様々なデータをエクセルに入力していきます。


看護スタッフも事務スタッフも空き時間を見つけては、
毎日入力してくれ、
迅速で正確なデータが集まるようになりました。

 

私は朝8時過ぎから診療前までの朝の日課として、
データまとめをしています。

それらを集計して分析し、毎週のスタッフカンファレンスで発表して、
患者さんへよりよい治療が出来るように努力しています。

 

この集めたデータを分析して患者さんに還元していくことが大事なんですね。

 

きし1

 

 

 

このたび、2022年12月3日(土)14時から、
慈恵医大柏病院の成医会にて、
日々まとめているデータの一部を発表させていただく機会を持ちました。

 

題名は、

「かしわ腎泌尿器クリニックにおけるがん地域連携」

です。

 


前立腺患者さんの来院数や平均年齢、病期のステージ、
PSAの値についてなどのデータを多角的な視点で集め、
分析し、とりまとめました。


発表当日は非常勤の先生に診療をお任せし、
看護師、事務員スタッフと共に全力で発表してきます。

 

きし2

 

 

2022.11.08更新

みなさん、こんにちは。

 

前回は、採血のPSA検査で

前立腺がんが予測できるということについてお話しました。

採血で前立腺がんわかる?

 

今回は、PSA検査や直腸診などで前立腺がんが疑われた際、

確実にがんを診断する確定診断の方法、

前立腺針生検(はりせいけん)についてお話しします。

 

 

現在の医学において、エコー、CT、MRIなどの画像検査が発達とともに、

多くのがんが画像検査でみつかるようになりました。

しかし、それら画像検査は

あくまでがんを強く疑うという段階までの判断です。

 

最終的に、がんの確定診断は、

がんが疑われる組織を一部採取する「生検」と、

その生検で得た組織を顕微鏡で正常か悪性(がん)かを

専門の病理医によって判断する「病理診断」によって行われます。

 

実際、前立腺がんの診断にMRI検査が有用とされていますが、

MRIで診断できない前立腺がんも多く存在します。

われわれ泌尿器科医は、PSA値や直腸診などを含めて

複合的に前立腺がんが疑われた場合、

前立腺生検を行い前立腺がんの確定診断をします。

 

 

具体的な前立腺針生検の方法を解説します。


前立腺は肛門から指を入れると、お腹側に触れる部位に存在します。

生検1

 

 

前立腺がんの大きさや進行度によっては、

この直腸診により硬いがんを触れることもあります。


針生検は、肛門からエコーで前立腺を確認しながら、

直腸(お尻の穴の奥)、もしくは会陰(えいん、肛門と陰のうの間の皮膚)から

穴のあいた特殊な針をさして、針の中に組織を採取してきます。

 

生検2

 

 

みなさんがもっとも心配されるのは、生検時の痛みでしょう。

施設によっては、痛み止めのゼリーだけを使用して生検を行っていたため、

肛門の痛みを感じる方も一定数おりました。

 

当院では、2022年12月から経会陰的前立腺針生検を行いますが、

腰椎麻酔でしっかり痛みを取り除いた状態で生検を予定していますので、

ご安心いただけると思います。

 


麻酔のあと、生検は約10-20か所採取するのですが、

時間は10-20分程度で終了します。

 

生検の合併症ですが、一番多いものは出血で、

尿、精液、便に血が混じるというものですが、

数日から1か月程度で徐々におさまります。

 

他に、尿が出なくなる(尿閉:にょうへい)や発熱があげられます。

発熱は前立腺に菌が入り、急性前立腺炎となることが原因です。

多くは予防的な抗生物質で発症を予防できますが、

1-3%程度の割合で全身に菌が回る

敗血症(はいけつしょう)という重篤な感染症になる危険があり、

その場合は入院での抗生物質治療が必要になり、注意が必要です。


当院では、直腸からの生検よりも

こうした感染のリスクが低いとされている会陰からの生検を行います。


こうした発熱や尿閉がなければ、検査当日から通常の生活は可能で、

当院では日帰り生検を実施します。


約2-3週で生検結果はわかりますので、次回の外来で結果をお話しいたします。

 

 

このように、PSA検査で異常値であった場合、

前立腺針生検という精密検査が行われますが、

ご安心して検査をうけていただければと思います。

 

 

 

2022.11.04更新

ダイエットすることが過活動膀胱に対して

薬と同じぐらいの効果があると前回お話させていただきました。

 

今回はダイエットについてお話をしたいと思います。

 

読んでいただいている方の中にも

ダイエットを試したことがある人は多いと思います。

しかしダイエットが長続きしなかったとよく耳にします。

 

・ダイエットしても体重がなかなか減らない

・食欲に負けてしまう

・何をすればいいかわからない

・つまらない

 

などの理由で挫折してしまったのではないでしょうか。

 


でもあきらめることはありません。

簡単に成功させる方法があります!

その方法とは「毎日体重計に乗る」ということです!!

 

体重計

 

そんなことでダイエットが成功するのか!? と思うかもしれませんが、

それを裏づける論文が存在します。1)

 

論文の概要は毎日体重測定する人と毎日測定しなかった人(1週間に平均5.4回 測定)では

6カ月間で6kgも体重に差があったとのことです。

毎日体重測定するだけでこれだけの差が出るなんて驚きですよね!

 

論文の中では毎日体重を測定する人は、

きちんと食事管理や運動にも取り組む傾向があったためだと結論づけられていました。

それならば何としても毎日体重計に乗る習慣を身につけたいですよね。

 

脱衣所の見えるところに体重計を置いて、お風呂に入る前に測定すれば、

毎日比較しやすいですからおすすめです。

 

毎日体重計に乗って、

食事管理や運動する意識を高められるようにしてみましょう。

 

 

 

そしてもう1つダイエットを成功させるために重要なことがあります。

それは「睡眠」です。

アメリカで6.8万人を16年追跡した研究では、

「睡眠時間5時間未満は体脂肪の蓄積が16%上昇、

6時間未満は6%上昇。

7時間以上は体脂肪増加と関係なし」との結果が出ました。

 

睡眠不足は食欲をコントロールする

グレリンやレプチンといったホルモンが低下するためだそうです。2)

 

睡眠

 

 


今日からダイエットのために毎日体重測定して、

7時間以上の睡眠を確保するという習慣を取り入れてみてはいかがでしょうか。

 

次回は具体的なカロリー計算についてお話したいと思います。

 

 

1) Steinberg DM et al. Weighing every day matters: daily weighing improves weight loss

and adoption of weight control behaviors: J Acad Nutr Diet. 2015 Apr;115(4):511-8.

2)Patel SR, et al. Association between reduced sleep and weight gain in women. Am J

Epidemiol. 2006 Nov 15;164(10):947-54.

 

 

2022.10.11更新

こんにちは。院長の岸本です。

今回は梅毒についてお話ししたいと思います。

 

2022年上半期の時点で

梅毒と診断された人が、すでに5000人を超えたそうです。

(7月12日、国立感染症研究所公表の2022年度上半期梅毒感染症調査結果による)

 

最多を記録した2021年(7983人)の1.6倍のペースで増加をしています。

すごいハイペースですね。

 

 

当院でも今年に入り、梅毒の患者さんが増えていることを実感しています。

梅毒の診断をしますと、7日以内に保健所へ届出することが決められています。

 

当院では2018年5月から2022年7月までの約4年間で

91例の治療をいたしました。


2018年5月から2022年7月まで梅毒の91例統計
     男性76例 女性15例

梅毒1

 

 

 

 

そのうち、半数以上が、第1期と呼ばれる初期感染の方でした。

 

梅毒は初期から第4期まで段階的に進行していきます。

たいていの人は、第3期まで症状が悪化してしまう前に、受診治療を行っています。

 

 

今回は初期の第1期の症状と第2期の症状をお話ししたいと思いますので、

ぜひ、この症状のうちに受診してください。

 

↓ こちらもご覧ください

性病/かしわ腎泌尿器クリニックHP

 

↓ 性病を分かりやすくまとめた動画です

若い方への啓蒙などにも是非お使いください

よくわかる性病/性感染症と治療法(かしわ腎泌尿器クリニック監修)

 

 

第1期症状

感染してから約3週間~3ヵ月の間に起こります。

簡単に言うと、性器・くち・肛門にしこりができます。

第1期梅毒の症状は痛みや痒みなどの自覚症状がないため、

梅毒に感染していると知らないまま、

性的接触によって他人に感染させてしまうケースもあります。

 

約1ヶ月で初期硬結も硬性下疳も自然に消えてしまうため、

症状が出る部位によっては感染に気付きにくくなります。

 

 

第2期症状

第1期梅毒の症状がおさまって3ヵ月以上経った頃にあらわれます。

頭痛や発熱・だるさ・のどの痛み・脱毛(梅毒性脱毛)・湿疹(梅毒性バラ疹)、

小さく平たいイボ(扁平コンジローマ)、口内炎のような粘膜の白疹(梅毒性粘膜疹)

といった様々な症状が全身に現れます。

半年程度で症状がなくなりますが、感染力は残っています。

 

 

 

梅毒は血液検査と細菌培養にて診断するため、

当院ではオンライン診療は行わず、必ず来院検査をしていただきます。

そして内服治療を開始します。

 

一定期間治療したのち、血液検査で治癒判定を行います。


当院では治癒判定まで平均2.17か月の治療期間がありました。

 

治療薬の状況  平均(2.17か月)

梅毒2

 

 

 

梅毒は怖い印象がある方も多いと思いますが、

適切な治療さえすれば、完全に治せる病気です。

 

気になる症状がありましたら、早めに受診していただき、

しっかり治していきましょう。

 

梅毒、性病、という内容故、

普通の病気よりも不安だったり、恥ずかしさが勝ってしまったりで

なかなか受診する勇気が出ないかもしれません。

偏見をもって見られてしまったりもしかねないですものね。

 

でも、

一切偏見無く、一つの病気として向き合う事が出来るのが医者です。

看護師もスタッフも同様です。

どうぞ安心してご相談ください。

一緒に治していきましょう。

 

 

2022.10.03更新

こんにちは。三木です。

 

東京慈恵会医科大学泌尿器科学講座の第六代教授である

頴川晋先生の教授退任記念祝賀会が、

2022年9月17日土曜日に、東京のホテルオークラにて開催されました。

 

当院からも院長の岸本幸一先生、

慈恵医大柏病院から木村章嗣先生、大林広輝先生、

松川明弘先生、私、三木淳が出席いたしました。

記念祝賀会

 

頴川教授は2004年4月から2022年3月の長きにわたり、

診療もさることながら

教室の運営、教育、研究にも貢献された先生です。

特に前立腺癌を専門とし、腹腔鏡下前立腺全摘除術のエキスパートとして、

慈恵のみならず、日本の泌尿器医療を牽引されました。

 

私自身、頴川教授が就任された2004年から2011年までは、

新橋の本院で手術や研究を直接ご指導いただきました。

そして、2012年に私は柏病院に赴任したのですが、

柏病院で初めて腹腔鏡下前立腺全摘除術を実施する際にも、

頴川先生にお越しいただき指導いただいたことが、

現在の診療の礎となっていることは間違いありません。

 

そして2022年、柏病院にロボット前立腺全摘除術が導入され、

時代とともに、技術が継承、進化していることを感じます。

 

私の柏病院の恩師である岸本先生も、慈恵医大柏病院の教授として、

頴川先生と共に泌尿器科の医局を牽引されました。

現在は泌尿器科教室の同窓会副会長として、

我々現役の医局員を支援していただき、

同時にかしわ腎泌尿器クリニックの院長として

地域医療の発展に尽力されています。

 

退任記念祝賀会では閉会のご挨拶を述べられ、

無事盛会のうちに終了されました。

 

今回の会は、私自身、改めて仕事を見直す良い機会となりました。

今後は、慈恵医大柏病院泌尿器科の診療部長として、

かしわ腎泌尿器クリニックの医師として、

これまで以上に熱意をもって診療を行い、

泌尿器疾患でお困りの患者さんに寄り添い、

地域医療の発展、泌尿器学の進歩のために努力してまいりたいと思います。

 

 

2022.09.15更新

泌尿器科がんで最も多い、前立腺がん。

当院においての前立腺がんの状況についてまとめてみました。

 

2018年5月から2022年1月までの3年9か月の間に、

400名以上の方が来院され、

現在も多くの方が通院されています。

 

約400名の方の、来院される前に行われていた治療を調べたところ

200名以上が前立腺全摘出手術を受けられていました。

特に近年では、慈恵医大柏病院にも導入された、

最新機器のロボットを用いた手術を受けた患者さんが増えています。

(手術支援ロボット「ダヴィンチ」)

 

また、放射線治療を受けた方が約100名、

ホルモン治療を受けた方も約100名、

これらの治療を併用されている方も多くいらっしゃいます。

 

当院では大学病院と同様に、

注射や内服による前立腺がんのホルモン療法を継続して行うことで、

地域に根差し利便性に優れたクリニックの利点を生かしつつ

診療の質も落とさない、がん治療を行っています。

 

 

残念ながら一定の割合で、がんは再発や転移を起こします。

万が一、再発や転移が疑われた場合は、

ご本人やご家族と相談しながら、よりベストな方法を考えていきます。

 

大学病院での治療が必要と判断された場合は、

スムーズな医療連携により、大学病院へ紹介いたします。

 

医師たちは毎週必ずミーティングを行い、

心配な患者さんや治療に迷った症例などを共有し、相談しています。

看護師達も大半が

がんの治療に5年から20年近くかかわっているベテランです。

医師、看護師だけではありません。

事務のスタッフも含め、ミーティングで情報を共有しています。

がん診療4

 

がんの治療で不安なのは、あなただけではありません。

スタッフ全員が、皆様の不安を少しでも減らしたいと願っています。

困ったことがあれば、いつでも。どのスタッフにでも。

是非、声をかけてみてください。

 がん診療5

 

 

2022.09.10更新

こんにちは。院長の岸本です。

今回は、クリニックにおけるがん診療についてお話ししたいと思います。

 

私は大学病院に勤務している間、

大勢のがん患者さんの診療を行ってきました。

現在も大学病院の医師たちは、最前線でがん診療を行っています。

 

がん診療1

 

 

がん診療は、

手術、放射線、抗がん剤治療などを行う治療期間

治療後に再発や転移の有無をチェックするフォロー期間

大きく二つに分かれます。

 

そして、そのフォロー期間は

がんの種類によっては、長い期間を要します。

 

 

大学病院では、

日々新しいがん患者さんが来院することもあり、

以前から、がん患者さんが溢れてしまうという問題がありました。

 

フォロー期間の患者さんが増えていきますと、

患者さんの待ち時間が長くなってしまう、

予約が取れない、取れにくくなってしまう、等々

様々な問題が出てきてしまいます。

 

同時に大学病院などの医療機関にとっても、

一人一人の患者さんの診療の時間を短くせざるをえなかったり、

本来あってはいけない、質が下がる、

という悪循環を引き起こしてしまいかねない懸念があります。

 

 

こうした問題を改善するため、現在厚生労働省では、

がん医療の質の保証と安全の確保を図るための

「がん地域連携パス」の整備を推奨しています。

 

何やら言葉にすると難しいですね、、

 

簡単に言うと、、

 

手術、放射線、抗がん剤治療など、

重点的ながんの治療は、大学病院などのがん診療拠点病院で行いましょう。

 

比較的症状の安定した患者さんのフォローは、

地域クリニックや小規模病院が担いましょう。

 

そうして少しでも患者さんの為に、より良い環境を作りましょう、

というものです 。

 

がん診療2

 

 

 

当院では、地域拠点病院の慈恵医大柏病院と連携し、

術後の定期フォローや、

継続可能な薬物療法が必要ながん患者さんを、

積極的に診療しています。

 

それには

CTや膀胱鏡をはじめとした最新の検査機器が揃っていること、

慈恵医大柏病院の医師がほぼ毎日交代で診療していること、

なによりも大学病院との連携がスムーズであること、

 

それらが根底にあり、

がん診療のサポート体制は地域一、整っている施設だと自負しております。

 

がん診療3

 

 

次回に続きます。

 

 

 

2022.08.28更新

 

 

こんにちは。院長の岸本です。

コロナ禍に加えて暑さも続き、体調を崩していませんか?

 

さて、今回は性感染症の一つ、性器ヘルペスについてご説明します。

 

性器ヘルペスの原因である単純ヘルペスウイルスは、

HSV-1とHSV-2の2型に分類されます。

 

HSV-1は顔面、特に口唇、HSV-2は下半身、特に性器に起こりやすいです。

HSV-2による性器ヘルペスは、再発をしやすく、

月1回から、年に数回以上再発をくりかえすこともしばしばあります。

そして、常に陰部がただれますから、HIVや他の性感染症に罹患しやすくなります。

 

ただし、日本では性器ヘルペスの70%がHSV-1とされ、

オーラルセックスを主体とした風俗の普及と関係あるとも考えられていますが、

こちらは再発しにくいとされています。

 

 

症状

初感染では,感染後潜伏期の2~10日を経て、かゆみや痛みを伴う多数の水疱(すいほう)、

いわゆる水ぶくれができるのが特徴的です。

数日後に、その水疱がやぶれ、潰瘍(かいよう)やびらんを形成し、

いわゆる「ただれた」状態となります。

 

また、これらは痛みを伴うのが特徴です。

足の付け根の脹れや、特に女性では痛みが強く、

時にはおしっこが出ないなどの強い症状をともなうこともあります。

 

水疱

水泡

 

潰瘍、びらん

潰瘍、びらん

 

 

 

診断

多くの場合は、症状と肉眼的な所見で診断が可能です。

ただし、他の疾患との鑑別のため、

10分程度で単純ヘルペス抗原を検出できる迅速キットを用いることもあります。

 

 

 

治療

抗ウイルス薬の内服が主な治療となります。

 

●初発の場合

 バラシクロビル錠(バルトレックス®500㎎)1回1錠1日2回を5~10日間。


 ファムシクロビル錠(ファムビル®250㎎)1回1錠1日3回を5~10日間。


 アシクロビル錠(ゾビラックス®200㎎)1回1錠1日5回を5~10日間。

 


初発の治療が最も重要であり、当院では飲み忘れがないよう、

服用回数の少ないバラシクロビルによる治療を行っており、

痛みが強い場合は痛み止めも処方します。

 

 

 

●再発の場合

上記①~③は、薬剤を5日間内服します。

 

また再発では、発症後24時間以内に服用をしないと効果が得られにくいため、

早めに受診いただき服用することをお勧めします。

 

 

 

●再発予防の治療


ヘルペスウイルスの厄介なところは、一度感染すると、

治療を行っても非常に再発しやすいという点で、再発を抑える治療があります。

 

再発抑制療法として、再発頻度が年6回以上の方には、

バラシクロビル(バルトレックス®)500mg 1日1錠ずつ、

毎日1年間服用する方法があります。

 

1年間服用した後に休薬し、休薬期間中の再発の有無で、再発抑制療法の再開を検討します。

この再発抑制療法は、基本的に1年間内服を続けるため、根気が必要となります。

 

 

また、待機的再発抑制療法という、再発の早い段階の時だけ内服する方法もあり、

2019年より、ファムシクロビル(ファムビル®)を2回内服する方法が

保険適応となっています。

 

これは、再発頻度が1年に3回以上で、

再発の初期症状(違和感やかゆみなど)を正確に判断できる方が対象です。


 ・1回目:初期症状発現後すぐ(6時間以内)にファムシクロビル(ファムビル®)を4錠服用

 ・2回目:1回目の服用から12時間後にファムシクロビル(ファムビル®)を4錠服用

これで終わりです。

 

この治療は、2回の内服で治療できるため簡便で、治療までの期間が早まりますが、

患者さんが適切に再発している時期を判断し内服する必要があります。

 


服用を終えたら、次回の再発時用に処方をしてもらい、

次の再発を感じたらすぐに服用できるように、いつも携帯しておくと便利です。

 

 

 


【当院の性器ヘルペス患者さんの特徴】

次に、当院での単純ヘルペス患者さんの特徴を説明します。

2021年まで当院での来院患者数は、男性167名、女性33名でした。

 

男性の年齢分布

男性は20代から40代が多かったです。

男性の年齢分布

 

 

男性の感染部位


やはり亀頭や陰茎、包皮といったペニスそのものが多いですが、陰嚢にも感染します。

男性の感染部位

 

 

男性の感染症併発


男性ではクラミジアや淋菌等を合併している方もいました。

B型肝炎などの感染症併発も見られましたので、幅広い感染症診断が必要ですね。

男性の感染症併発

 

 

女性の特徴

女性は20代~30代の方が多く、感染部位としては陰唇が最大です。

クラミジアや淋菌などを併発しており、男性同様に、他の感染症の精査と治療が必要ですね。

女性の特徴

 

 

ヘルペスは、初期治療はもちろん、

再発の治療、再発予防の治療がとても重要です。

当院では、これらの治療に対応しておりますので、

症状がありましたら早期に受診してください。

 

 

 

 

 

 

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お気軽にご相談ください 泌尿器科 / 内科 / 腎臓内科 柏駅東口より徒歩3分 土曜診療あり

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