過活動膀胱は生活環境が影響しており、
年齢、うつ病、ケーキ・和菓子摂取が関係していると
前回お話させていただきました。
甘いもの好きの方へ過活動膀胱の対策を今回お話する予定でしたので
早速、述べさせていただきます。
結論から言いますと「ダイエットしましょう」ということです!
何かすごくいいことを教えてくれるとワクワクされていた方、
期待外れの回答でごめんなさい。
ただダイエットすることが
間違いなく過活動膀胱を改善させる1番良い方法です。
泌尿器科医が参考にしている過活動膀胱の治療に関するガイドラインがあり、
その中では治療としてダイエットすることを1番に推奨しています。
ただし肥満でない方への効果は証明されていません。
理想体重より減りすぎては健康を害してしまいますので、
肥満でない方は骨盤底筋訓練や内服加療を行いましょう。
骨盤底筋訓練についてはクリニックでパンフレットをお渡しできますし、
YouTubeなどでやり方が紹介されています。
過活動膀胱には治療薬として抗コリン薬のお薬がありますが、
ダイエットすることでこの抗コリン薬と同じだけの効果が証明されています。
効果がどちらも同じであれば、「薬を内服するほうが簡単だ」と思うかもしれませんが、
抗コリン薬を内服すると副作用が出ることがあります。
便秘であれば10%、口の渇きであれば20-40%の方に副作用がみられますし、
認知症のリスクが高くなるとも言われています。
またお薬代もかかりますよね。
ダイエットの治療効果が出るまでは即効性のあるお薬の力を借りて、
ダイエットが進んでいけば、お薬をやめていくというのが理想であると考えています。
ではどれだけ体重を減らせばよいのかということですが、
権威ある雑誌で紹介された論文では
体重の8%減量すると失禁の回数が半分に減ったというデータが紹介されています。1)
70kgの人であれば5.6kg、60kgであれば4.8kgです。
決して無理ではない数字だと思います。
具体的には6カ月で8%の減量を目標としていただけるとよいでしょう。
ダイエットを開始してすぐに効果を出すことは難しいですが、
これが過活動膀胱治療の1番の近道です。
「急がば回れ」とはまさにこのことでしょうか。
次回はダイエットする具体的なプランについてお話したいと思います。
1) Leslee L Subak, Rena Wing, Delia Smith West et.al.Weight loss to treat urinary
incontinence in overweight and obese women. N Engl J Med. 2009 Jan 29;360(5):481-90.